物語

あらすじ

 精霊の力に恵まれた小さな国がある。
 その国には、「精霊術」という独自の魔法があり、人々に大きな恵みを与えていた。

 精霊術師という特別な資質を持った者は、自然の力を得て精霊力を結晶化したり、便利な道具を作り、魔物と戦い、時には荒れ果てた大地さえも蘇らせたという。

 外界から隔離されたその国に、百年ぶりに新しい精霊術師が誕生した。
 女神の伝説が残る、緑豊かな町。
 そこから彼女の物語が始まるーーーーー。

精霊術師と精霊使い

 精霊を扱う職業に、精霊術師と精霊使いがある。
 精霊術師の操る「精霊術」は内世界(精霊祀りの主な舞台)から外世界へ伝わったものであり、 環境の違いにより、外世界の術師は内の術師に比べるとかなり力が弱い。
 内の術師が6種(火・水・風・土・光・闇)全ての力を操るのに対し、外の術師は通常一種類のみ、多くても3種の力までしか使えない。
火と水、風と土、光と闇、その3組の力は相反するものとして同時に行使できないためである。

 精霊使いは外世界のみに存在する。
 精霊を呼び出し使役するのが主な役目であり、精霊術師のように自然から精霊力を集めて行使することはできない。
 だが、精霊術師にはできない能力が一つある。
 精霊をその身に依り憑かせて力を振るうことである。外の世界の精霊力が乏しく、短時間しか精霊を呼び出すことができないためと思われる。